企業変革、企業文化改革、DX(Digital Transformation)、最近ではSX(Sustainability Transformation)など、「変革」、「改革」、「トランフォメーション」という言葉をよく耳にします。こうした言葉は、非連続的(disruptive, not incremental) な変化を必要とする目標を設定し、その目標を実現するために組織運営の仕組み、組織ケイパビリティ、従業員の行動様式やマインドセットを抜本的に変えていく取り組みを指します。コンサルタントとしてこうしたトランスフォメーションのご支援は幾度となく経験させて頂きましたが、様々なプロジェクトのテーマの中でも、極めて難易度の高いテーマの一つと言えます。その理由は、変化をもたらすための問題解決が多岐にわたること、巻き込むステークホルダーが部門・地域横断で多岐にわたること、長期的な取り組みでありトップマネジメントを中心としたコミットメント、プロジェクト推進にあたっての粘り強さ(tenacity)と敏捷性(agility)が求められること、などが挙げられます。
トランスフォメーションの推進に当たっては多くの場合、シニアマネジメントのスポンサー下にプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)を設置し、プロジェクト推進を行いますが、以下のような理由により期待通りに機能せず、結果的に期待される成果を創出できないケースが散見されます。
課題1:チェンジマネジメントプログラムの重要な、以下の3つの要素が包括的にアクションに組み込まれていない
・トップマネジメントからマネジャー、現場スタッフまでの階層的なコミュニケーション
・ギャップ充足のために求められる組織および個人のケイパビリティ構築
・公式、非公式な行動変容の仕組み作り
課題2:プロジェクトマネジメントのガバナンスが最適化されていない
・リーダーシップのエンドースメント不足
・組織横断の取り組みで責任の所在が不明確
・社内ポリティクスによって前に進まない
課題3:プロジェクトマネジメントのケイパビリティ不足
・プロジェクトマネジメントチームに十分なリソースが充てられない
・プロジェクトマネジメントオフィスの問題解決能力不足
・コンサルタントに過度な依存
課題4:中長期的な視野での継続的かつシステマチックな変革マネジメントの欠如
・短期的な視点でプログラムが設計され、息切れしてしまう
・変革の進捗がKPIによって可視化されない
このようにプロジェクトマネジメントに関わる課題は「複雑骨折」状態で、一筋縄に解決することは難しいです。過去20年以上に渡りコンサルタントとしてお客様の社内での取り組みにおけるこのような苦労や失敗を客観的に観察してきた経験、そしてプロジェクトのご支援をさせて頂きこれらの問題解決に貢献させて頂いた経験を踏まえ、トライアスリードは企業変革プロジェクトマネジメントの成功に向けて経営者、PMOの皆様に並走する形でお役に立ちたいと思っております。
上述の課題の具体例や解決に向けたインサイトについては、今後ブログの中でご紹介していきたいと思います。
堤裕次郎